考えない時間

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何も考えない時間が欲しい、と思い、ふらっと外に出た。ここ最近、理由のない虚脱感や無力感を感じて、気が滅入ってしまっていた。家にいると、ずっと何かを考えてしまい、自分を自分で縛ってしまう気がする。何も考えずにいるためには、何かに自分を委ねる時間が必要なのだ、と思って。

何も考えずに、と思っても色々考えてしまうなあ、と思いながら、ぼうっと川を見ていると、風に水面が揺れて細かな波紋ができる。その様子を写真に撮ろうとするけれど、どうしても上手く撮れない。自分の目にだけ焼きつけておけ、ということなのだろうか。周りを見渡すと、すすきが北風に揺れ、鳥が高い空を自由に飛んでいる。空は、青空は見えているけれど、少し濃い灰色の雲がかかってきていた。今日の気温は高めだけれど、風の匂いは少しずつ冬になりかけていた。

こんなふうに、自然の風景に身を任せているときが一番自分らしいと思う。風に揺られていると、だんだんと頭がリセットされていくのが分かる。こんなことをもう何百回と繰り返しながら、いままで生きてきたのだと思う。何かを溜め込んで、それを吐き出して。その繰り返しが人生なのかもしれない。

空を見上げながら、少しゆっくりめに歩いて帰路に着いた。今まで何百回と繰り返してきた行為は、傍から見たら何も特別ではないけれど、自分の中では少しだけ特別だ。自分が自分でいられる、貴重な時間だと思うから。