雪景色

朝起きると、今年何度目かの雪が降っていた。昨晩から降り続いていたので、少しは積もっていることを期待しながら、窓からの景色をぼんやりと眺めた。積もってはいたけれど、寝不足から来る眠さと、布団の温かさに負けてしまい、結局また二度寝をした。

1時間後、二度寝から目を覚まして、朝ごはんを食べ、ブーツを履いて外へ出る。雪は窓から見たときよりもしっかりと積もっていた。

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去年も雪は何度か降っていたけれど、全然積もらなくて悲しかったので、ようやくちゃんとした雪景色が見れた気がする。あたり一面の銀世界に、気分がみるみる高揚していく。

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雪に覆われた世界はなんと美しいのだろう、と、雪が降るたびに思う。いつも見る景色とはまるで別世界だ。いつもなら見過ごしてしまうような庭の草木も、特別なオブジェのように見える。

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そのまま歩いて川へと向かった。どんなときも足が真っ先に川へと赴くのはなぜなのだろう。いつも川になにかを期待している。

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やっとこさやって来たはいいものの、寒風が吹きつけ、雪が舞う川の水面を見るだけで寒々しい気持ちになって、足早にその場を去った。

少し時間を置いたあと、さっきとは違うコースを歩く。どこに行こうか悩んで、民家の間の狭い路地を選んだ。傾斜のきつい坂を、滑らないようにゆっくりと慎重に歩いた。

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お目当てはいつも散歩で行く神社。天気以外の変化はないのに、なぜかいつもここへ来てしまう。神社とか、お寺とか、なにか引き寄せられるものがあるのかなあ。

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空から落ちてくる雪と、木の枝から落ちる雫が顔にぶつかって、あまりの冷たさに身震いしていると、ふと梅の花が視界に入ってきた。

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すっかり雪に気を取られていたけど、春の準備をするかのように梅の花はしっかりと寒空の中に咲いていた。「雪の重みに耐えて生き抜いた その誇りで春を照らせ」という、どこかで聴いたフレーズが頭をよぎる。エビ中の「梅」の歌詞だった。そういえば、梅は桜よりもいつも早くに咲いているのに、そのことをすっかりと忘れていた。

春には満開になる桜の花も、あともう少し。

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冬だ冬だと思っていたけれど、もうすぐ春が来る。自然はちゃんと、そのための準備をしているんですね。

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また足跡を残して帰路へ着いた。まだ雪は降るかもしれないけど、その瞬間の景色を残しておきたくて、一生懸命写真を撮った。あのとき撮っておけばよかった、と後悔はしたくなくて。その時にしか感じられない感情を、ちゃんと残しておきたい。

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冬が終わって春がやってくるころには、自分も次のステップへ進みたいな。