2年後の春

人はどうして、何かを始めた季節を忘れられないのだろう、とふと思った。

思い出したのは2年前の春。バイトを始めた季節だった。あのときの気持ちの高ぶりはいまでも覚えていて、毎日が新鮮なことばかりだった。といっても、きれいな思い出ばかりじゃない。毎日、上手くいかない、できない自分に不安や苛立ちを感じていたし、今でもそのことを思い出すと苦しくなる。どうしてもっと上手くできなかったんだろう、と後悔することも多い。年月が経つごとに思い出はきれいにされていくものなのかもしれない。それでも、毎日が輝いていたと思う。人から見て自分がどう映っていたかは分からないし、迷惑ばかりかけていたことは間違いないのだと思う。だけど、自分の中で、新しいことをスタートしたときの気持ちはいつまでも消えなくて、初めて見た景色や、電車の車窓から見る、青空や新緑の風景、当時聴いていた音楽はしっかり脳裏に刻まれている。もうダメなのかな、とふと思ってしまうとき、あのときの記憶が、事実が支えになってくれている。

またあんな気持ちになれる季節が来るのだろうか?そんなことを思いながら、2年後の春を迎えようとしている。

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