頑張る

母に、「あんたが昔から頑張ってたこと、ちっとも知らんかったわ。仕事でいっぱいいっぱいで、全然見てへんかったから」と言われた。

昔から頑張っていたこととは、デザインのことらしい。そんなふうに言われると、なんかよく分からないけど違和感がある。別に、頑張ろうと思って頑張っていたわけではない。

小学生のときから、パソコンに張り付いて好きなことばかりしていた。いま思い返しても、ダメな小学生だと思う。画像加工ソフトで、好きなように画像をいじっているのが楽しくて、そればかりしていた。いじれば画像は変化する。いじり方を覚えれば、自分の好きなようにいじれるようになる。好きなようにいじれるようになったら、インターネットで調べて、さらにいじり方を覚えていく。インプットとアウトプットを、誰から言われたわけでもなく、やろうと思ってやっているわけでもなく、楽しいから、という理由で続けられた。

やりたいことを好きなだけやっていたら、そこそこ上達するのは当たり前の話だと思う。だから、なにも頑張っていない。好きなことをしていただけだ。そこには思考も苦労もなかった。夢中になれるものがあるから、夢中になっていただけ。

いまになって、それを意識的にやろうとすることの難しさを感じている。デザインは、好きなことというよりも、仕事ですることになり、夢中になるというよりは、集中するものに変わってしまっている。好きなことを仕事にするということは、そういうことだと思う。もちろん、今だって好きだし夢中にはなるけれど、それだけではやっていけない。

特段、頑張っていたわけではない。だけど、母は私が作った昔のものを見て「頑張っていたんだね」と言う。なんなら、今の方がよっぽど頑張っているんじゃないかな、なんて思ってしまう。こういうところで、変に大人になってしまったんだと実感する。

最初に夢中になった瞬間なんてもう二度と戻ってこないから、今を頑張るしかないのだと思う。こう書くと、なんだか夢も希望もないけれど、そうではない。むしろ今からが頑張りどきかもしれないので、地道にこつこつ積み重ねていきたい。

今年一年を振り返ったときに、よく頑張った、と思える年にしたい。頑張るって、無理をすることではなくて、自分なりにベストを尽くせることだと思っている。ベスト、尽くしていきたい。そう思うことで前向きにやっていこうという気持ちになる。

昔の自分は頑張っていなかったと思うけれど、いまは頑張っていきたい。意識しているか、していないかの違いなのかもしれないけれど。とにかく今は、頑張りたい気持ちでいっぱいなのだ。