好きなアイドル、松野莉奈さんが亡くなった

昨日のお昼ごろ、私立恵比寿中学のメンバーである松野莉奈さんの訃報のニュースが突然と入ってきた。

私立恵比寿中学は、私が3年前から好きなアイドルで、いつも情報はチェックしていました。いつものようにTwitterのトレンドを見ていたら、「エビ中・松野莉奈さん」というワードがあることに気がついて、「新しい仕事かな?」なんて思いつつ、エビ中〜から始まるワードがトレンド入りするなんて珍しいから、まさか体調に何かあったのだろうか、と思いながら、詳細を見た。

目に飛び込んできたのは「急死」という言葉だった。なんで、どうして、誤報ではないのか、と様々な感情が脳内を駆け巡った。松野さんの健康そうな容姿にはあまりにも似つかわしくない「急死」という言葉。18歳の女の子が突然死ぬわけない。まして、この間までいつものようにInstagramを更新していたのを知っていたから。

デマに違いない、これは今流行りのフェイクニュースだ、と思いながらソース元を確認する。LINE NEWS、FNNスピーク、ヤフーニュース。どれもしっかりとしたメディアばかりだ。嘘だろう、こんなことがありえるのか、あってたまるか、と再び脳内はめまぐるしくなる。

何度も何度も、同じ文面をみては真偽を疑う。公式アカウントを見たら何か情報があるのではないか、と思ってアクセスするも、訃報のニュースとは全くテンションの異なるメディア出演のツイートばかりで、余計に真実かどうかが疑わしくなる。公式サイトには繋がらない。

訃報の記事を見るとどれも「警視庁によると」と書かれている。情報の提供元が警視庁ならほぼ確定で間違いないだろう、と思っている自分と、公式が何も言わないのだからやはりデマではないのか、と思う自分で忙しい。

突然の訃報のニュースの衝撃が強かったのか、動悸、体の震え、食欲不振など、様々な症状が表れて、恐怖心すら感じた。頭は真っ白で、涙すら出てこない。アイドルを長年見てきたけれど、こんな体験は初めてで、もう耳にタコが出来るほど聞き慣れてしまった、「脱退」や「卒業」、「スキャンダル」や「不祥事」のどれとも違う、奈落の底に突き落とされてしまうような絶望を感じた。これは、半年前に身内の訃報を聞いたときと同じだ。だって、本当だったらもう会えないではないか。

そう思いながら、公式の発表を待った。ほぼ9割確定であることは分かっているけれど、どうしても信じられなかった。

18時過ぎ、公式サイトを更新していると、ようやくトップページが表れて、お知らせが追加されていた。

当事務所の所属タレント松野莉奈(私立恵比寿中学メンバー)が、平成29年2月8日未明に死去いたしました。

松野は、体調不良により2月7日のコンサートへの出演を取りやめ、自宅で休養をしておりましたが、翌8日に搬送された病院にて死亡が確認されました。

これまでの皆様のご支援ご声援に感謝いたしますとともに、謹んでご報告申し上げます。

私立恵比寿中学オフィシャルサイト | お知らせ

「死去」という言葉を見た瞬間に、肩から力が抜けてしまった。当たり前のように書かれているけれど、あまりにも不自然だ。

公式サイトから発表されたら、もう受け入れるしかないような気がして、しばらくニュースを見るのをやめた。



自分と私立恵比寿中学の出会いは2014年の春だった。ももクロの妹分グループであることと、エビ中の名前自体は昔から知っていたけれど、「永遠に中学生がコンセプト」「King of 学芸会」というパンチの強いワードから、「これは迂闊に手を出してはいけないやつだ」と思っていた。思っていたのに、転機は訪れる。

たまたま見ていたアイドルメドレーの動画から、耳を疑うような声が聞こえてきた。「ぁぃぁぃ」こと廣田あいかさんの声だ。それまで全く興味がなかったのに、声にびっくりして注目して、曲を聞いてみるとたいそう変だった。パフォーマンスも変わっている。箒を振り回して「メタメタにしてやるー!」と叫び、続く次の曲では「ティッシュティッシュティッシュ!」と叫んでいた。心の底から、「なんだこのアイドルは」と思い、そのままズルズルとエビ中沼に引きずり込まれることになったのでした。

きっかけになった楽曲はこちら。

ライブ動画はこちら。

そんなきっかけから、公式チャンネルから動画を漁る日々が続き、3日も経てば立派なエビ中ファンになっていました。エビ中の楽曲は基本的に良い意味で頭がおかしいのだけれど、いずれの曲も徐々に体がそれに適応されていく麻薬のような成分を含んでいた。「さて、次はどんなおかしい曲があるのかな?」と思い、「手をつなごう」をクリックした。

その曲は今まで聞いてきたような頭のおかしい楽曲ではなく、ストレートとしか言いようのない名曲だった。「こんな曲も歌っているのか!」という衝撃を受けて、そのままその曲のライブ動画を見た。信じられないけど、泣いた。泣き叫んだ。机に突っ伏して。「この子たちと同じ時代に生まれてこれてよかった!」と本気で叫んだ。3日間でこうなるのだから、いかに麻薬のようなグループかということが分かるかと思います。エビ中の楽曲はバラエティーに富んでいて、お化け屋敷がテーマのふざけた曲から、人生に思いを馳せるような哲学的な曲まで、全く飽きさせないのです。それを歌いこなすメンバーのポテンシャルに惹かれ、ずるずると引きずり込まれていきました。

経験上、沼にハマると抜け出せない人間であることは分かっていたので、出来る限り投資を控えようと思っていたのに、3ヶ月後にはなぜか握手をしていました。なぜ、どうして。

その時のレポートは、当時書いていた別のアカウントのブログに残っています。オタクが炸裂しているのでご注意ください。

前振りが長くなったけれど、その時にりななん、もとい松野莉奈さんと握手をしました。とても一瞬だったので、容姿を目に焼き付けようとした記憶しかないけれど、陽の光に透かされたような白い肌と、色素の薄い茶色の目をこちらに向けて微笑んでくれたことは覚えています。イメージ通り、背が高かった。

りななんは容姿とは裏腹に声が低く、「梅」という楽曲ではラップのパートをやったりしていました。「放課後下駄箱ロッケンロールMX」という曲ではデスボイスを担当したり、容姿と声のギャップを存分に活かしていました。その一方でテンションは高く、一番子どもっぽいリアクションをしたり、ドタバタと騒ぐような一面もあり、噛めば噛むほど味が出るスルメのようなキャラクターを持っていました。

エビ中には「出席番号の歌」という自己紹介ソングのようなものがあり、上の動画は10人時代のものです。その後もメンバーが脱退と卒業(エビ中では転校)を繰り返し、現在は8人になっているので、最近その2が作られました。

転校したメンバーは今まで欠番扱いになってきたので、りななんもそうなるのか、それとも永久欠番になるのかは分かりません。正直なところそれどころではないし、グループがこの先どうなるのかも分からない。こんなことになるとは全く想像すらしていませんでした。

去年のSMAP解散で、「アイドルがアイドルでいてくれることって当たり前じゃない」ということを強く思わされた気がしたけれど、「アイドルが人として生きていてくれることも当たり前じゃないんだ」とも思わされました。単なる偶像の世界では決して無いんです。

りななんには一度しか会えなかったけれど、その一度の記憶があるだけで良かったと思っています。本当はもっと会っておきたかったけれど。会いたい人には、会えるうちに会っておいたほうがいいです。好きなアイドルも、離れている家族も、滅多にしか会わない知り合いも。会えることって当たり前じゃないから。

今はまだ信じられないけれど、そのうち受け入れられる日が来るのかもしれない。ずいぶんと時間は掛かると思うけれど。

松野莉奈さんのご冥福をお祈りいたします。

いつか私も 逆上がりできるかな?
いつかあなたと 仲直りできるかな?
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いつか私も 恋人ができるかな?
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